展覧会「うつせみ」


会期 2012年9月22日(土) - 10月14日(日)
時間 11時 - 17時 金・土・日・祝日のみ *入場無料
会場 常懐荘(愛知県小牧市久保一色228)
主催 「うつせみ展」実行委員会
お問い合わせ utsusemiproject@gmail.com
協力 常懐荘維持再生委員会

協賛



プレスリリース(PDF、725KB)


展覧会に寄せて


 本展は、昭和初期の建築物で現在は空き家となっている常懐荘という日本家屋を会場にして開催されます。
 タイトルである「うつせみ」は、「現身」(現世を生きる我々)、あるいは「空蝉」(蝉の抜け殻) と書き、共に儚さを示す日本語です。本展覧会の作家が生み出す作品はその「うつせみ」の如く儚い表現が特徴であり、その居所をことさら主張するでもなく、作品そのものの価値よりも、それを触媒として触れられる世界にこそ価値を見いだせるような、謂わば「主体の抜け殻」としての虚ろなる作品群として機能します。
 今回の展示では、それ自体「空蝉」と言える空間である常懐荘の中に展示され、点在する作品たちを探し彷徨い歩く中で、常懐荘の持つ美しい意匠や豊かな歴史を隅々まで体感できるものになることでしょう。


主催者一同

 

 


■常懐荘について

 小牧市の久保山に位置する「常懐荘」は昭和8年、竹内禅扣 (ぜんこう)氏によって建てられ、禅扣氏が亡くなる一年前に完成しました。和館と廊下でつながる別棟の洋館、2階は書斎としての洋室、書庫と和室の2室を有し、昭和初期の特徴的な和洋折衷スタイルで構成されています。
 建物名に使われた「常懐(じょうかい)」は常に心が引かれるという意味があり、禅扣の好きだったなでしこの別名でもあります。この花をレリーフした家具や天井、ステンドグラスなど 美意識の高さや、座敷の襖絵を山田秋衛氏(大和絵)、尾上柴船氏(仮名文字)に依頼するなど、文化人との交流も深く、芸術や文学に精通していたことがうかがわれます。また、禅扣は早稲田大学にて坪内逍遥に師事し、晩年まで交流がありました。直筆の書も残されており、常懐荘は逍遥の熱海の双柿舎をモデルにしたと思われます。
 後年、禅扣氏は妻しげ氏と共に名古屋市内に女子工芸学校(現在の愛知産業大学)を設立します。
禅扣氏が真っ先に考えた事は、貧しいゆえに進学をあきらめざるを得なかった女性たちに学業の道を開くことでした。今日、女性が自由に学び社会において活躍できる場を得られているのも、こうした先人達の大きな志によるもの、と言えます。教育者として一生を捧げた禅扣氏の女学校は5千名もの卒業生を輩出しました。
 晩年、病に倒れ短い時を常懐荘で静かに過ごしています。庭には、桜や紅葉、からたちなど季節を彩る花木や果実の木が植わり、四季折々の景色が心休まる最期の場所となりました。


竹内禅扣
明治10年生 早稲田大学文学部文学科卒業
大正15年 愛知高等女子工芸学校長及び設立者就任
名古屋市より教育功績者として銀杯一組を受ける
昭和10年死没 享年59歳

 

常懐荘 常懐荘